Q | 遺言とは何ですか? |
A | 遺言とは、相続が起こったときにあらかじめ自分の財産を譲り渡す人を決めておき、その内容を書面(遺言書)に記しておくことです。遺言をすることにより、相続が起こっても相続人の間で誰がどの財産を相続するかで争いになることを回避できます。遺言書を作る上での形式的な法律上の決まりがあり、その要件を満たしておけば生前に誰でもすることができます。遺言書にはいくつかの種類があり、一般的には「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2つが多く用いられています。 |
Q | 自筆証書遺言とは何ですか? |
A | 自筆証書遺言とは、本人が「自筆」で、全文・日付・氏名を紙に書いて、その書面に署名・押印する遺言書のことです。紙の様式は問いませんが、本人が全文を「自書」する必要があり、代筆やワープロなどで文字を表記することはできません。自筆証書遺言は、本人が書面に記して署名・押印するだけなので特に費用もかからず簡単であり、もっとも多く利用されている遺言です。また、遺言書を作成するときにその内容を他人に知られることなく作ることが可能ですが、相続が起こったら家庭裁判所で遺言の検認の手続きを経る必要があります。 |
Q | 公正証書遺言とは何ですか? |
A | 公正証書遺言とは、証人2人以上が立ち会った上で、遺言者が公証人のもとで遺言の内容を話し、公証人がそれをまとめ遺言書として作成するものをいいます。公正証書遺言は公証役場で保管されるので、遺言の内容が改ざんされたり破棄されたりすることがなく、最も安全な遺言の方法といえます。また、前述の自筆証書遺言と異なり、相続後に家庭裁判所で検認を受ける必要がないため、スムーズに遺言に基づく相続手続きが可能となります。ただし、公正証書遺言を作成するにあたって所定の手数料がかかります(費用は財産の金額によって異なります)。 |
Q | 遺言執行とは何ですか? |
A | 遺言の執行とは、遺言に記載されている内容を実現することをいいます。遺言書を作成するときに、遺言執行者を決めておけば、相続が起こったときに遺言執行者が相続人の代理人として相続財産の管理や遺言の執行に必要な行為をすることになります。遺言執行者には相続人や知人などの第三者でもなれますが、相続人が執行者に協力しないこともあるため、専門家等に依頼しておくと安心でしょう。 |
Q | 成年後見制度とは何ですか? |
A | 成年後見制度とは、認知症など高齢化にともなって本人の判断能力が低下してしまった人のために、後見人を選任することによって本人の財産を守る制度です。後見人が選任されていれば、財産の処分については後見人が本人に代わって相手方と契約をするため、お年寄りを狙ったリフォーム詐欺や悪徳訪問販売などから本人の財産の流出を防ぐことができます。また、後見人が財産をしっかりと管理しているため、相続が発生したときに、生前の財産処分について争いになる可能性も低くなります。 後見人を選任するためには家庭裁判所に後見開始の申立てをする必要があります。 |
Q | 成年後見人とは何ですか? |
A | 成年後見人とは、判断能力の低下してしまった人(本人)の財産を守るために、家庭裁判所で選任された人のことをいいます。成年後見人が、本人に代わって、財産の処分をしたり各種契約をしたりすることになります。後見人の行った行為は裁判所によって監督されているため、本人の不利益になるような行為をすると解任されることもあります。裁判所の統計資料によると、後見人として選ばれる人の約7割は本人の親族(配偶者や子供等)が占めており、その他には弁護士や司法書士などの法律専門家がなるケースもあります。 |
Q | 任意後見制度とは何ですか? |
A | 任意後見制度とは、本人の判断能力があるうちに、将来自分の判断能力が衰えたときに自分をサポートしてくれる人(任意後見人)をあらかじめ選んでおく制度です。元気なうちに、将来の不安に備えて任意後見人を選んでおけば、自分の判断能力が低下したときに、任意後見人が本人の財産を管理してくれます。任意後見制度を利用するには、公正証書によって本人と任意後見人の間で「任意後見契約」を締結する必要があります。 |
Q | 生前贈与とは何ですか? |
A | 生前贈与とは、その言葉どおり、生前に財産を贈与しておくことです。生前にあらかじめ贈与しておくことで、相続後の財産分けのトラブルを避けることができます。また、相続税の対策として、相続時精算課税制度や夫婦間の贈与の特例を使って税金を減らし、効果的に贈与することができます。ただし、相続時精算課税制度や夫婦間の贈与の特例などの税金の優遇を受けるためには、いくつかの要件がありますので、あらかじめ専門家にご相談されることをおすすめ致します。 |
Q | 相続時精算課税制度とは何ですか? |
A | 相続時精算課税制度とは、贈与税と相続税を一体化させて、贈与時に贈与財産に対する贈与税を支払い、その後相続が起こった時に、贈与をうけた財産と相続財産とを合計した金額をもとに算出した相続税額から、すでに支払った贈与税を控除して納税をする制度です。この制度を適用すると、親から子への生前贈与について2,500万円まで贈与税の控除を受けることができます。しかし、適用要件がいくつかあり、制度を選択する上でのメリット・デメリットがあることから、事前に専門家にご相談されることをおすすめします。 |
Q | 夫婦間の贈与の特例とは何ですか? |
A | 夫婦間の贈与の特例とは、夫婦間で居住用の不動産やその取得資金として配偶者に贈与をする場合、贈与税について最高2,000万円まで控除をうけることができる制度のことです。この控除と贈与税の基礎控除(110万円)を併せて合計2,110万円まで贈与税の控除を受けることができます。
適用要件の概要は次のとおりです
このとおり、適用を受けるためにはいろいろな要件を満たす必要があります。事前に専門家にご相談されることをおすすめします。 |
Q | 相続税対策とは何ですか? |
A | 相続税とは、相続人が亡くなった人から財産を譲り受けるときに発生する税金のことをいいます。相続税には基礎控除があり、相続財産の評価額が基礎控除の金額以下であれば、相続税はかからず、相続税の申告をする必要もありません。基礎控除の計算方法は以下のとおりです。
基礎控除 = 5,000万円 + (1,000万円 × 相続人の数) つまり、相続人が配偶者とその子供2人の場合は、5,000万円+1,000万円×3=8,000万円までは相続税がかからないことになります。 相続税が発生する可能性がある場合にあらかじめ相続税対策をしておけば、将来相続が起きても相続人が相続税の納付に戸惑うことも少なくなるでしょう。 ただし、生前に相続対策を行う場合に、相続「税」のことを念頭に置いてしまうと、その税金対策が相続人の間で後々トラブルの種になることも少なくありません。まずは相続「人」のために生前の対策を行い、税金対策の問題は副次的に考えることをおすすめします。 |
Q | 事業承継とは何ですか? |
A | 事業承継とは、会社や事業を今の経営者から他の人(後継者)に引き継がせることをいいます。中小企業などの会社や個人事業を経営している人が高齢になってきた場合に、会社や事業をどのようにしていくかはとても重要な問題です。身内にバトンタッチするのか、第三者に譲り渡すのか、それとも会社を清算するか・・・その方法は多岐にわたります。また、自分の経営する会社の株式が相続財産にある場合には、相続問題と事業承継問題は切っても切れない関係にあります。事業承継問題は、会社の経営状態や内情、相続人の関係などすべての要素を加味して決断しなければなりません。 |